Select Language 日本語English
トップ > テーマでめぐる京都観光 > 京の発明 > 株式会社堀場製作所

京の発明 株式会社堀場製作所

株式会社堀場製作所 自動血球計数CRP判定装置

感染症の診断に必要な血液検査は、高度な検査設備が必要であり、時間がかかることが難点であった。そのため医療現場からは、簡便でしかも短時間にデータが得られる小型の検査装置が求められていた。
血液は赤血球、血小板、白血球の血球成分と、CRP(C反応性タンパク)などの成分が含まれる血漿で構成されている。その中で、急性炎症や感染症の指標となるCRP濃度を正確に測定するには、遠心分離器などを使用して血漿あるいは血清を分離する必要があった。そのため検査設備が大型化し、採取した血液を設備のあるところへ送らねばならず、時間も手間もかかっていた。山尾たちの考えた『全血を用いた血漿成分の免疫測定法』は、血液全部を使用し、免疫反応に影響しない方法によって血球を強制的に溶血させた試料を使う。この試料に含まれるCRPを凝集試薬で抗原抗体反応を起こして凝集魂をつくり、それに光をあて、透過の度合いから濃度を求めるのである。溶血とは赤血球の細胞膜の破壊によって原形質が漏出した状態で、検査結果に影響を与えるということから、これまで免疫血清検査などの臨床検査では溶血を極力避けるのが常識とされてきた。しかしこの既成概念にとらわれない方法によって、血液の血清・血漿分離の前処理が不要になったのである。

細菌感染などの疾患があれば、免疫を役割とする白血球の数は短時間に増加する。そしてCRP濃度が白血球の増加から遅れて上昇する。この白血球を含む血球計数と、CRP濃度測定の2つを同時に検査することにより、病原体の推定や疾患状態の判断につながる重要なデータが得られる。「血球カウンタにCRPが付いたらうれしいのにな」とつぶやいた京都府立医大の医師の言葉に、山尾たちは製品化を決め、『自動血球計数CRP測定装置』を開発した。CRP測定と白血球の分類、そして白血球、赤血球、ヘモグロビンなど18項目の血球計数を同時に、そして4分30秒という短時間で測定できる装置だ。血液検査は現在の医療になくてはならないものである。簡便でしかも短時間に精度の良いデータが得られるこの装置は、検査後すぐに確定診断ができることから、迅速に治療を開始することを可能にした。

ページトップへ